池永征司(家暖リフォーム/株式会社コンクレタス 代表取締役社長)
コンクリート製品の開発と販売を手がけ、UA値0.19のコンクリート製の超高断熱住宅を開発しました。その経験をもとに、大分で家を壊さない断熱リフォームを始めました。記事は、現場で見てきたことと、国や研究機関の資料をもとに書いています。
冬の家を暖かくしたい。
結論:まずは窓から。次は、足もとが寒いなら床、夏も暑いなら天井
- 窓は、熱の出入りが大きい所です。国土交通省のパンフレットは、最も改善効果が望める部位に窓を挙げています。環境省も、まずは窓からをすすめています
- 内窓取り付け工事は1〜2日ほどで、住みながらできます
- 次の1か所は、困りごとで選びます。足もとの冷えがつらいなら床、夏の暑さも気になるなら天井です
- 天井裏に断熱材が無い家は、窓と一緒に天井も考えます。断熱材の有る無しは、現地調査で確かめます
- 国土交通省は、直す所を増やしにくいときも、窓に加えて天井・壁・床の少なくとも1か所を、なるべく直すようすすめています

今の断熱の状況は、家暖リフォームの現地調査で確かめられます。入れる所は中まで、入れない所は見える範囲で確認します。
まずは窓から。窓は熱をよく通す
窓は、熱の出入りが大きい所です。国の省エネ基準の手引きでは、代表的な仕様を同じ広さで比べると、窓などの開口部は、壁や天井の7〜12倍、熱を通しやすいとしています。

図2(国の省エネ基準の手引き)
環境省も「まずは効果の高い窓から」をすすめています。
国が試した12軒で、直した所と結果
国土交通省の実証事業では、よく使う部屋を断熱するリフォームを、12軒で試しました。1999年(平成11年)3月30日より前、築27年ほど以上の戸建てです。

図3(国土交通省の実証事業)。部屋の温度の測定は、暖房中の上と下の温度差か、いちばん低い室温。1軒は、直す前と後で測った場所が違います。
12軒のうち7軒は、窓・天井・壁・床の4か所とも直しました。窓だけを直した家はありません。工事のしやすさで、床と窓を選んだ家もあります。
結果は、省エネ基準(等級4)相当以上に直した8軒で確かめています。8軒とも、部屋の温度の測定でよくなりました。同じ単価で計算した光熱費は、7軒で減りました(「部分断熱改修の進め方と効果」p.101)。よく過ごす部屋をまとめて直した5軒は、部屋の温度と光熱費の両方がよくなりました(同 p.102)。
石川県穴水町の家は、1階の窓・天井・壁・床を直しました。暖房する部屋の平均室温は、15.7℃から21.0℃になりました。1・2月の電気の使用量は、直す前の冬より29%減りました(パンフレット p.7〜8)。
国土交通省のパンフレットでは、直す所が多いほど大きな効き目が見込め、費用も上がります。
天井に断熱材が無い家は、天井も大きく効く
天井は、窓よりずっと広い所です。そのため、天井に断熱材が無い家では、天井も大きく効きます。
大分県のガイドラインは、どこにも断熱材が無い家を想定して、1か所ずつ直したときの変わり方を計算しています。くらべるのはUA値です。
UA値は、家全体の熱の逃げやすさを1つにした数字です。小さいほど熱が逃げにくい家です。くわしくは「熱貫流率(U値)とは?」にあります。

図4(大分県のガイドライン)
天井を直したときの下がり方は、内窓(今の窓の内側に足す窓)の約3倍です。計算の家では、窓を全部合わせても、広さは天井の半分もありません。

図5(大分県のガイドライン)
外壁は、もっと大きく下がります。ただ、家の一部を直す例では、外壁は直す所に入っていません。工事の日数も費用も負担が大きいためです。
天井裏に断熱材が無い家では、窓と一緒に天井も考えます。天井裏の断熱材は、現地調査で確かめます。
下のツールでは、建った年ごとの、よくある天井の断熱材の厚さの目安が出ます。実際の厚さは現地調査で確かめます。
動かしてみる:我が家の熱の逃げやすさ(UA値)
1.8倍
| 天井 | |
|---|---|
| 外壁 | |
| 床 |
UA値は、大分県「おおいためじろオシ住まいガイドライン」第4章の表(建設年代別の既存住宅の標準的な断熱材の仕様と外皮性能)の値です。県内の家の実例から年代ごとの標準的な仕様を想定し、6地域のモデルの家で計算した値で、1軒ごとの値ではありません。「断熱材が入っていない家」「天井だけ断熱した家」は、表では年代が付いていません。今の新築の最低ライン0.87は、2025年4月から新築に義務になった国の基準で、大分県内のどの地域でも同じ値です(建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令 第1条)。今ある家に守る義務はありません。電気ストーブの数は、逃げる熱=UA値×家の外側の面積×温度差(20℃−5℃=15℃)で計算し、400Wで割った目安です。家の外側の面積は、国の補助事業の手引きにある計算例の家(床面積120.08㎡、外側の面積は床面積の2.57倍で約309㎡。木を活かす建築推進協議会「住宅省エネルギー技術講習テキスト 設計・施工編 全国(4〜7地域)版[第2版]」令和2年度 国土交通省補助事業、p.26)としました。換気で逃げる熱は入っていません。実際の暖房代は、暖める部屋と時間で変わります。熱のつぶは、UA値に合わせた数のイメージです。
床と天井は、効き方がちがう
消費者庁の資料に載った大学の研究者の寄稿は、窓→床→天井→壁の順をすすめています。足もとの冷えと夏の暑さの両方が気になる家は、この順が目安になります。
環境省の説明では、天井は夏の暑さも防ぎ、床は足もとの底冷えを防ぎます。

図6(環境省)
直す部屋は、よく使う部屋をひと続きに
国土交通省のパンフレットでは、直す範囲を一筆書きで囲みます。例は、長くいる部屋・洗面所や浴室・廊下・将来の寝室です。

実証事業の報告では、使う時間が短い寝室だけを高い断熱(等級5相当)に直すと、期待される効き目を下回る見込みです。寝室も直すなら、居間や水回りとひと続きの範囲で考えます。
直した所と直していない所では、温度差ができます。行き来すると、健康被害につながることもあります。
窓・床・天井と一緒に、すき間もふさぐ
気流止めは、床下から壁の中を通って天井裏へ抜ける、空気の通り道をふさぐ工事です。国の省エネ基準の手引きでは、断熱の工事をしない場合でも「是非実施したい工事」です。

家暖リフォームでは、床下から壁の下側をふさぎます。
家暖リフォームでできること
- 窓:今の窓の内側に、樹脂枠の窓(内窓)を足します(窓暖プラン)
- 床:床下から、床板のすぐ下に断熱材を入れ、壁の下側のすき間もふさぎます(床暖プラン。床暖房ではありません)
- 天井:天井裏に、綿のような断熱材(グラスウール)を、標準で23cmの厚さに吹き込みます。天井だけの工事も請けます
- 床と天井、すき間をまとめて直す床天井断熱プランもあります

料金の目安は、プラン・料金案内に載せています。
よくある質問
窓だけ直せば、家は暖かくなりますか?
窓辺の冷えが減り、室温の低下も減らせます。天井・床・すき間の工事と組み合わせると、さらに暖かくなります。
住みながら工事できますか?
内窓・床下・天井の工事は、家を壊さず、住みながらできます。内窓は1〜2日ほど、床下・天井の工事も、ほとんどの家で数日です。
補助金は使えますか?
使える補助金があるかは、現地調査のときにご相談ください。
相談するとき
現地調査には、必ず専門の職人が伺います。入れる家は床下・天井裏に入り、入れない家は見える範囲で、今の断熱の状況を調べます。床下や天井裏に入るふた(点検口)を、新しく作ることもできます(費用がかかります)。時間は1〜2時間ほどです。
現地調査とお見積りは無料です。金額を見てから、断ることもできます。内窓以外の工事は、日程によりますが、現地調査から工事に入るまで1か月以内が目安です。
電話では「現地調査をお願いします」と伝えるだけでかまいません。受付は、基本的に平日です。
電話:0120-1181-46(フリーダイヤル)
お問い合わせ:お問い合わせフォーム
この記事の出典
- 部分断熱等実証委員会(国土交通省)「ご自宅の中でよく使う生活空間から優先して断熱改修しませんか?」(令和6年6月)p.3〜8、p.14
- 部分断熱等実証委員会(国土交通省)「部分断熱改修の進め方と効果~実証事業で得られた知見~」(令和6年6月)p.96、p.101〜102、p.151
- 環境省 デコ活「断熱リフォーム」
- 消費者庁「年末年始に増加する高齢者の事故に注意しましょう!」(2022年12月27日)参考資料1 p.4
- 国土交通省「住宅の省エネルギー基準 設計・施工編【全国(4〜7地域)版】第2版」(令和3年3月)p.57、p.150
- 大分県「おおいためじろオシ住まいガイドライン」第4章 p.4-P15、p.4-P20

