池永征司(家暖リフォーム/株式会社コンクレタス 代表取締役社長)
コンクリート製品の開発と販売を手がけ、UA値0.19のコンクリート製の超高断熱住宅を開発しました。その経験をもとに、大分で家を壊さない断熱リフォームを始めました。記事は、現場で見てきたことと、国や研究機関の資料をもとに書いています。
Low-E(ローイー)ガラスは、見た目はふつうの透明なガラスです。それなのに、冬に部屋の暖かさを逃がしにくくします。
結論:薄い金属の膜が、熱の光をはね返す
- 窓ガラスの表面に、銀などのとても薄い膜を付けたガラスです
- 部屋の暖かさで温まったガラスは、目に見えない光(熱の光)で、熱を外へ逃がします
- 膜は、この熱の光を出しにくく、はね返します。日の光は通します
- 同じ空気の層12mmのペアガラスで比べると、膜1枚で、ガラスの真ん中の熱の通しやすさが約4割小さくなります(暖房代の数字ではありません)

魔法瓶にたとえると
魔法瓶は、2重の壁のあいだを真空にし、内側を銀色にして、お茶の温かさを保ちます。真空が熱を伝えにくくし、銀色の面が熱の光をはね返します。

Low-Eのペアガラスも、熱を伝えにくい層と、熱の光をはね返す銀色の面の組み合わせです。ペアガラスの中は真空ではありません。2枚のガラスのあいだにあるのは、乾いた空気やガスです。
熱が逃げる道は3つ
- 伝わる(熱伝導):物の中を、熱が順に伝わる。フライパンの柄が、だんだん熱くなる
- 空気が運ぶ(対流):温まった空気が動いて、熱を運ぶ。ストーブの上に、暖かい空気が上ってくる
- 光で飛ぶ(放射):温かい物から熱の光が出て、熱を運ぶ。たき火の前で顔が熱くなる。あいだに空気があっても届く

ペアガラスの空気の層で、減らせる熱と減らしにくい熱
ペアガラス(複層ガラス)は、2枚のガラスのあいだに乾いた空気などを閉じ込めたガラスです(国の補助事業の手引き p.53)。空気の層は熱を伝えにくく、空気の大きな流れも抑えます。そのため、伝わる熱と、空気が運ぶ熱を減らせます(AGC 旭硝子研究報告65)。

熱の光は、空気の層だけでは減らしにくい熱です。部屋の暖かさで温まった部屋側のガラスが熱の光を出し、その光が外側の冷たいガラスに届きます。
Low-Eの膜は、熱の光を出しにくく、はね返す
手引きは、この膜を「低放射膜」と呼びます。銀や酸化スズなどをガラスの表面に付けて、光で飛ぶ熱の伝わりを抑える膜です(p.53)。Low-Eは「低放射」の意味です。
膜を付けた面は、熱の光を出しにくく、届いた熱の光をはね返します。部屋側のガラスに付いた膜は、温まったガラスが外へ向けて出す熱の光を減らします。

膜は、2枚のガラスのあいだの、空気の層に面した側に付けます(手引き p.54)。板硝子協会は、エコガラスの膜を「酸化亜鉛と銀をコーティングしたもの」と説明しています。
膜1枚で、熱が約4割通りにくくなる
手引きには、ガラスの種類ごとの熱の通しやすさ(熱貫流率)が載っています。数字が小さいほど、熱を通しにくいガラスです。

図6 ガラスの真ん中の熱の通しやすさ(手引き p.54 図3.4.5)。
空気の層12mmのペアガラスは2.9です。同じ12mmで膜が1枚付くと、1.8になります。アルゴンなどのガスを入れたものや、3枚ガラスのトリプルなら、さらに小さくなります。
どれも、ガラスの真ん中の値で、枠は含みません。数字の見方は「熱貫流率(U値)とは?」にあります。
透明なのに熱をはね返せるわけ
日差しには、目に見える光と、目に見えない日差しの熱があります。どちらも、波の短い光です。部屋の暖まった物が出す熱の光は、波のずっと長い光です。

手引きも、取り込む型の膜は、波の短い日差しを部屋に通し、波の長い部屋からの熱の光をはね返す、と説明しています(p.53)。
日差しの熱を取り込む型と、さえぎる型
Low-Eのペアガラスには、日差しの熱を取り込む型と、さえぎる型があります(手引き p.53)。どちらも透明で、部屋の熱を逃がしにくいガラスです。違うのは、日差しの熱を部屋に入れるか、外ではね返すかです。

- 取り込む型:膜は、主に部屋側のガラスに付けます。日差しの熱を部屋に入れます。冬に日差しで暖まりたい窓に向きます
- さえぎる型:膜は、主に外側のガラスに付けます。日差しの熱の一部を、外ではね返します。夏の暑さを和らげますが、冬の日差しの暖かさも少なくなります
日差しを受けたときに部屋に入る熱は、取り込む型で半分以上、さえぎる型で半分より少なめです(手引き p.53)。
どの窓に、どちらの型?
ガラスや窓のメーカーは、窓の向きで選ぶよう説明しています(日本板硝子、LIXIL)。
- 冬に日が当たる南の窓:取り込む型。冬の日差しの暖かさを入れます。夏の日差しは、ひさしやシェードでさえぎります
- 夏の西日が強い西の窓:さえぎる型
- 日差しがあまり入らない北の窓:どちらの型でも、部屋の熱を逃がしにくくなります
内窓には、窓ごとにガラスの型を選べる製品があります(LIXIL)。冬の寒さと夏の西日の両方が気になる家は、窓ごとに分けて選べます。
取り込む型とさえぎる型は、どこが違うのか
日差しの熱の入り方が違うのは、ガラスの作りが違うからです。作りと性能の違いは、次のとおりです。
- はね返す光の種類
- 銀の層の数
- 膜の位置
- 色
- 数字で比べると
- 冬と夏の得意・不得意
はね返す光の種類
日差しには、明るさになる見える光と、目に見えない近赤外線などが入っています。ガラスメーカーの AGC の技術報告は、日差しの熱を部屋に入れないためには、主にこの近赤外線を入れないことだと書いています(旭硝子研究報告65、2015年)。

- 取り込む型:部屋の熱の光をはね返し、日差しの近赤外線は多く通します
- さえぎる型:部屋の熱の光に加えて、日差しの近赤外線もよくはね返します。そのぶん、日差し全体から部屋に入る熱が減ります(AGC の報告)
銀の層の数
AGC の技術報告にある設計の例では、取り込む型は銀1層の膜です。銀を厚くすると日差しまではね返すので、薄い膜のまま性能を出しています。
さえぎる型の例は、銀を2層・3層に分けて、ほかの薄い層と重ねます。見える光は通し、近赤外線を強くはね返すためです。銀の層は、厚さ数十ナノメートル(1ミリの数万分の1)の、とても薄い膜です(AGC の報告)。

膜の位置
取り込む型は主に部屋側のガラスに、さえぎる型は主に外側のガラスに、膜を付けます。どちらも、空気の層に面した側です(手引き p.53)。膜の位置は、製品によって違うこともあります。取り込む型・さえぎる型の名前は、日差しの熱を通す量で決まります(板硝子協会)。
色
さえぎる型には、ブルーやグレー、緑がかった色に見える製品があります。取り込む型には、透明感を大事にした製品があります(AGC の報告)。
数字で比べると
板硝子協会の資料の例では、入ってくる見える光と、受けた日差しの熱を、それぞれ100とすると、次のようになります。

図11 見える光と日差しの熱を、それぞれ100とすると(板硝子協会「ビルと複層ガラス」表2.1の例)。
- 明るさ(見える光が通る量):取り込む型73、さえぎる型67です。差は小さめです
- 部屋に入る日差しの熱:取り込む型64、さえぎる型42です。さえぎる型は、取り込む型より約3分の1少なくなります
- 部屋の熱の通しやすさ(小さいほど逃げにくい):この例では、取り込む型1.9、さえぎる型1.6です。どちらも、透明のペアガラスの2.9より小さくなります。冬の日差しの暖かさは、取り込む型のほうが多く入ります
数字はビル用のガラスの例で、製品ごとに違います。
冬と夏の得意・不得意
- 取り込む型:冬の日差しのポカポカ感を残せます。AGC の報告では、寒い地域向けの製品です
- さえぎる型:夏の日差しの熱を減らします。そのぶん、冬の日差しの暖かさも少なくなります(手引き p.53)。AGC の報告では、暖かい地域向けの製品です
手引きも、日差しの熱が多く入るガラスは暖房を大事にする部屋に、少ないガラスは冷房を大事にする部屋に向く、としています(p.57)。
家暖リフォームの内窓は、Low-Eのペアガラス
家暖リフォームの内窓は、今ある窓の部屋側に、樹脂枠の窓をもう1つ足す工事です。

手引きによると、1枚ガラスの窓では「室内の7割近くのスペースが低温になる」そうです。Low-E複層ガラスなどなら、窓辺が低温になるのを大幅に抑えられます(p.20)。
それぞれ経験豊かな専門業者とタッグを組み、信頼性の高い工事を行っています。内窓取り付け工事は1〜2日ほどで、住みながらできます。内窓のガラスを取り込む型にするか、さえぎる型にするかは、現地調査のときにご相談ください。
内窓を付けた冬の部屋の変わり方は「内窓を付けると冬の部屋はどう変わる?」にあります。料金の目安は、プラン・料金案内に載せています。
よくある質問
今の窓がLow-Eか、見分けられますか?
板硝子協会のエコガラスのマークがあれば分かります。板硝子協会のエコガラス(Low-Eの膜を付けた複層ガラス)には、マークが貼ってあるか、刻んであります。マークが見つからなくても、Low-Eではないとは言い切れません。現地調査のときにご相談ください。
夏の暑さにも効きますか?
型によります。さえぎる型なら、日差しを受けたときに部屋に入る熱を、より少なくできます(建築研究所の表)。
Low-Eのトリプルガラスもありますか?
あります。3枚のガラスのうち1枚以上に、膜を付けたガラスです(手引き p.54)。家暖リフォームの内窓は、トリプルガラスにも対応しています。費用はペアガラスのおよそ1.5倍です。
相談するとき
現地調査には、必ず専門の職人が伺います。時間は1〜2時間ほどです。現地調査とお見積りは無料で、金額を見てから断ることもできます。
電話では「現地調査をお願いします」と伝えるだけでかまいません。受付は、基本的に平日です。
電話:0120-1181-46(フリーダイヤル)
お問い合わせ:お問い合わせフォーム
この記事の出典
- 木を活かす建築推進協議会「住宅省エネルギー技術講習テキスト 設計・施工編 全国(4〜7地域)版[第2版]」(令和2年度 国土交通省補助事業、令和3年3月)p.20、p.34、p.53、p.54(図3.4.5)、p.56(表3.4.3の注)、p.57、p.62(表3.5.1)
- 板硝子協会 エコガラス「よくあるご質問」
- 板硝子協会「住宅・建築物の省エネルギー基準とエコガラスについて」
- 建築研究所「平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅)」第三章第四節「日射熱取得率」Ver.21(2026年10月)3-4-15 付録C 表1
- AGC 旭硝子研究報告65(2015)矢尾板和也「建築用高性能Low-Eガラスの開発」p.3〜4
- 板硝子協会「ビルと複層ガラス」表2.1(中小企業基盤整備機構 J-Net21「窓への省エネ対策はどんなものがありますか?」に引用)
- 日本板硝子「窓の断熱・遮熱を高めるLow-Eガラス入門」(2025年11月)
- LIXIL「インプラス えらべるガラス」

