池永征司(家暖リフォーム/株式会社コンクレタス 代表取締役社長)
コンクリート製品の開発と販売を手がけ、UA値0.19のコンクリート製の超高断熱住宅を開発しました。その経験をもとに、大分で家を壊さない断熱リフォームを始めました。記事は、現場で見てきたことと、国や研究機関の資料をもとに書いています。
冬は窓ぎわが寒く、夏は西日で部屋が暑い。そんな窓の対策に、内窓(今の窓の内側に付ける、もう1つの窓)があります。
家暖リフォームの内窓のペアガラスは、Low-E(ローイー)ガラスです。Low-Eガラスには、日差しの熱を部屋に取り込む型と、さえぎる型があります。
結論:違うのは日差しの熱。南は取り込む型、東・西・北はさえぎる型が基本
- 2つの型で違うのは、日差しの熱を通す量です。冬に熱を逃がさない力は、ほぼ同じです
- 窓のメーカーの説明では、南の窓は取り込む型、東・西・北の窓はさえぎる型です。大分県のガイドラインにある新築の家の例も、この分け方です
- 南と西の窓は、夏の日差しを窓の外でもさえぎります

今の窓と断熱の状況は、家暖リフォームの現地調査で、確認できる範囲で調べます。
2つの型の違いは、日差しの熱を通す量
Low-Eのペアガラスは、2枚のうち少なくとも1枚に、薄い金属の膜をつけたガラスです。この膜が、部屋の熱を室内へはね返します(板硝子協会)。
取り込む型(日射取得型)は、冬の日差しの熱を、部屋に多く入れます。さえぎる型(日射遮蔽型)は、日差しの熱を外へはね返します。一年中、窓に日傘をさしているようなものです。

日差しの熱を半分以上通すのが取り込む型、半分より少ないのがさえぎる型です(国土交通省の手引き)。膜の位置が図2と違う製品もありますが、型は通す熱の量で決まります(板硝子協会)。
冬に逃げる熱は、どちらの型もほぼ同じ
メーカーによっては、「遮熱タイプ」「断熱タイプ」という名前で売っています。名前に「遮熱」と付いていても、冬に熱を逃がさない力は、取り込む型とほぼ同じです。

図3(建築研究所)
下のグラフの数字は「熱貫流率」です。数字が小さいガラスほど、熱が逃げにくくなります。くわしくは「熱貫流率(U値)とは?」にあります。
建築研究所の参考の表では、2つの型を分けず、どちらも1.8です。内窓メーカーの表示でも、差はわずかです。
内窓を付けると、冬に逃げる熱が減る。日差しの熱も減る
内窓を付けると、冬に窓から逃げる熱が減ります。どれだけ減るかは、下のツールで、窓の大きさを選んで調べられます。数字が大きいほど、その窓から多くの熱が逃げています。
動かしてみる:窓の種類と、逃げる熱
オレンジのつぶは熱のイメージです。つぶの数は、逃げる熱の量に合わせています。逃げる熱=熱貫流率×窓の面積×温度差で、窓の寸法はおおよその例です。部屋20℃・外2.6℃(大分市の1月の日最低気温の平均。気象庁 平年値 1991〜2020年)として計算しています。熱貫流率は国の表の値です(国土交通省 設計・施工編 全国版)。内窓を足した窓は、建築研究所の計算法にある二重窓の式で、今の窓(6.51)と内窓の値から計算しています(建築研究所の技術情報)。エアコンは、価格.comの人気売れ筋(2026年10月)の6畳用・14畳用の製品の、仕様表の最大の暖房能力です。エアコンが実際に出せる暖房能力は、外の気温で変わります。石油ストーブ・ファンヒーターは、価格.comの人気商品の木造10畳用の最大の暖房出力です。どれも目安としてくらべています。日差しや風、カーテンで変わります。
日差しは、今の窓と内窓の両方を通ります。そのぶん、部屋に入る日差しの熱も減ります。

図4(建築研究所・LIXIL)
内窓を付けても、取り込む型のほうが、さえぎる型より日差しの熱が多く入ります。図4は、今の窓が1枚ガラスの場合の、枠を除いたガラスだけの値です。88は建築研究所、60と38はLIXILの計算表の値です。
冬は南、夏は東と西の窓に日差しが多い
大分市の1月、南の窓に当たる日差しは、東・西の窓の約2倍、北の窓の約4倍です(大分県)。夏は、東と西の窓に当たる日差しが、南より多くなります(建築研究所)。
夏の昼の日差しは、高い所から来ます。南の窓は、軒やひさしの深さなどの条件が合えば、夏の昼に影にできます。冬の日差しは低く、部屋の奥まで届きます(メーカーの説明)。

西の窓には、夏の夕方、低い日差しが横から差し込みます。部屋の中のカーテンだけでは、入った熱を防ぎきれません(メーカーの説明)。
窓ごとの選び方
窓のメーカーの説明も、大分県のガイドラインにある新築の家の例も、次のように分けています。
- 南の窓:取り込む型。冬の日差しの熱を部屋に入れます
- 東と西の窓:さえぎる型。夏の朝の日差しと西日の熱を減らします
- 北の窓:さえぎる型。寒さと結露の対策を優先します
北の窓は日差しが少なく、取り込む型の良さが出にくい窓です。熱を逃がさない力が、さえぎる型のほうがわずかに上の製品もあります(内窓メーカーの表示)。

図6(窓のメーカー・大分県)
南の窓と、西日がきつい窓は、夏の日差しをすだれなどで窓の外からさえぎります(メーカーの説明)。すだれは、夏だけさす日傘です。ガラスでさえぎると冬の日差しも減りますが、すだれは季節に合わせて付け外しできます(国土交通省の手引き)。

南は東・西の約2倍、という数字には、ひさしや隣の家の影は入っていません。迷ったときは、部屋の使い方で選びます。冬の暖かさを優先したい部屋は取り込む型、夏の涼しさを優先したい部屋はさえぎる型が向きます(国土交通省の手引き)。
今の窓がLow-Eかは、印で分かることがある
「エコガラス」のマークが貼ってある、または刻んであるLow-Eガラスがあります(板硝子協会)。新しいガラスは、ラベルに型の記号が書いてあることがあります。「Lg」は取り込む型、「Ls」はさえぎる型です(板硝子協会・ガラスメーカー)。

図8(板硝子協会ほか)
「断熱タイプ」という名前でも、さえぎる型の製品があります。名前だけで決めず、ラベルの記号を見るか、業者に「取り込む型か、さえぎる型か」と聞きます。
マークがあってもなくても、内窓は付けられます。どの窓に内窓を付けるかは、無料の現地調査のときにご相談ください。今の窓の印も、そのときに伝えてください。
家暖リフォームでできること
- 内窓:今の窓の内側に、窓を付けます。熱を通しにくい樹脂の枠に、Low-Eのペアガラスを入れた窓です(窓暖プラン)。外の音も届きにくくなります
- トリプルガラス(3枚ガラス)の内窓にもできます
- 窓台の奥行きが足りない窓は、枠を足して付けます(ふかし枠)
- 内窓の工事は1〜2日ほどで、住みながらできます

料金の目安は、プラン・料金案内に載せています。
よくある質問
Low-Eの内窓に、フィルムを貼ってもいいですか?
貼らないでください。内窓メーカーの取扱説明書は、ガラスに紙やフィルムを貼らないよう求めています。日差しでガラスに温度の差ができ、割れることがあるためです(熱割れ)。
熱割れを防ぐため、カーテンや家具、布団をガラスにぴったり付けたり、ストーブの温風を当てたりしないようにします。
トリプルガラスにも、取り込む型とさえぎる型がありますか?
あります(国土交通省の手引き)。
相談するとき
現地調査には、必ず専門の職人が伺います。入れる家は床下・天井裏に入り、入れない家は見える範囲で、今の断熱の状況を調べます。床下や天井裏に入るふた(点検口)を、新しく作ることもできます(費用がかかります)。時間は1〜2時間ほどです。
現地調査とお見積りは無料です。金額を見てから、断ることもできます。内窓以外の工事は、日程によりますが、現地調査から工事に入るまで1か月以内が目安です。
電話では「現地調査をお願いします」と伝えるだけでかまいません。受付は、基本的に平日です。
電話:0120-1181-46(フリーダイヤル)
お問い合わせ:お問い合わせフォーム
この記事の出典
- 国土交通省「住宅の省エネルギー基準 設計・施工編【全国(4〜7地域)版】第2版」(令和3年3月)p.17、p.53〜54、p.56、p.57、p.70
- 建築研究所「平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅)」第三章第四節「日射熱取得率」Ver.21(2026年10月)3-4-15
- 同 第三章第三節「熱貫流率及び線熱貫流率」Ver.27(2026年10月)3-3-8、3-3-26〜3-3-29
- 同 第三章第二節「外皮性能」Ver.13(2026年4月)3-2-11
- 大分県「おおいためじろオシ住まいガイドライン」第3章(2024年8月)3-P8〜3-P9、3-P24〜3-P27
- 気象庁 平年値(大分、1991〜2020年)
- 板硝子協会「住宅・建築物の省エネルギー基準とエコガラスについて」、エコガラス「よくあるご質問」
- 板硝子協会「熱割れ」(2026年1月)p.1〜3
- 機能ガラス普及推進協議会・板硝子協会「ガラスのトリセツ」p.8〜9
- LIXIL「インプラス:えらべるガラス」、「インプラスガラスのえらび方」p.1
- LIXIL「平成28年省エネルギー基準評価対象製品性能一覧(住宅仕様基準判断用/外皮:二重窓のガラスごとの日射熱取得率)」(2020年5月)p.3
- LIXIL「取扱説明書 インプラス/防音・断熱内窓 FIX窓」(MAL-78P)
- LIXIL「樹脂窓 EW:日射熱取得&抑制」
- YKK AP「Low-E複層ガラスにはいくつか種類がありますが、違いを教えてください。」、「窓の教科書」Lecture 2
- 日本板硝子「窓の断熱・遮熱を高めるLow-Eガラス入門」(2025年11月)、「評価ルート1」の説明ページ
- AGC「評価ルート1」の説明ページ、「ガラスの豆知識 15. 光-1 採光と明るさ、季節と窓」

