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Low-Eガラスとは?透明なのに熱をはね返す仕組み

2026 11/01
窓・内窓

池永征司(家暖リフォーム/株式会社コンクレタス 代表取締役社長)
コンクリート製品の開発と販売を手がけ、UA値0.19のコンクリート製の超高断熱住宅を開発しました。その経験をもとに、大分で家を壊さない断熱リフォームを始めました。記事は、現場で見てきたことと、国や研究機関の資料をもとに書いています。

Low-E(ローイー)ガラスは、見た目はふつうの透明なガラスです。それなのに、冬に部屋の暖かさを逃がしにくくします。

目次

結論:薄い金属の膜が、熱の光をはね返す

  • 窓ガラスの表面に、銀などのとても薄い膜を付けたガラスです
  • 部屋の暖かさで温まったガラスは、目に見えない光(熱の光)で、熱を外へ逃がします
  • 膜は、この熱の光を出しにくく、はね返します。日の光は通します
  • 同じ空気の層12mmのペアガラスで比べると、膜1枚で、ガラスの真ん中の熱の通しやすさが約4割小さくなります(暖房代の数字ではありません)
ふつうのペアガラスとLow-Eのペアガラスの断面を並べた絵。どちらも部屋の暖かさで部屋側のガラスが温まる。ふつうのペアガラスでは、温まったガラスから熱の光が空気の層を渡り、外へ逃げる。Low-Eのペアガラスでは、膜の面から熱の光が出にくく、はね返るので、外へ逃げにくい。日の光(目に見える光)は、どちらのガラスも通る
図1

魔法瓶にたとえると

魔法瓶は、2重の壁のあいだを真空にし、内側を銀色にして、お茶の温かさを保ちます。真空が熱を伝えにくくし、銀色の面が熱の光をはね返します。

魔法瓶とLow-Eのペアガラスを並べた、たとえの絵。魔法瓶は、真空の層と銀色の面。Low-Eのペアガラスは、空気やガスの層と、銀の膜。ペアガラスの中は真空ではない
図2

Low-Eのペアガラスも、熱を伝えにくい層と、熱の光をはね返す銀色の面の組み合わせです。ペアガラスの中は真空ではありません。2枚のガラスのあいだにあるのは、乾いた空気やガスです。

熱が逃げる道は3つ

  • 伝わる(熱伝導):物の中を、熱が順に伝わる。フライパンの柄が、だんだん熱くなる
  • 空気が運ぶ(対流):温まった空気が動いて、熱を運ぶ。ストーブの上に、暖かい空気が上ってくる
  • 光で飛ぶ(放射):温かい物から熱の光が出て、熱を運ぶ。たき火の前で顔が熱くなる。あいだに空気があっても届く
熱が逃げる3つの道の絵。1、伝わる:フライパンの柄がだんだん熱くなる。2、空気が運ぶ:ストーブの上に暖かい空気が上ってくる。3、光で飛ぶ:たき火の前で顔が熱くなる。あいだが空気でも届く
図3

ペアガラスの空気の層で、減らせる熱と減らしにくい熱

ペアガラス(複層ガラス)は、2枚のガラスのあいだに乾いた空気などを閉じ込めたガラスです(国の補助事業の手引き p.53)。空気の層は熱を伝えにくく、空気の大きな流れも抑えます。そのため、伝わる熱と、空気が運ぶ熱を減らせます(AGC 旭硝子研究報告65)。

ペアガラスの断面の絵。2枚のガラスのあいだの空気の層で、伝わる熱と、空気が運ぶ熱は減らせる。部屋の暖かさで温まった部屋側のガラスは熱の光を出し、熱の光は空気の層だけでは減らしにくく、外側のガラスに届く
図4

熱の光は、空気の層だけでは減らしにくい熱です。部屋の暖かさで温まった部屋側のガラスが熱の光を出し、その光が外側の冷たいガラスに届きます。

Low-Eの膜は、熱の光を出しにくく、はね返す

手引きは、この膜を「低放射膜」と呼びます。銀や酸化スズなどをガラスの表面に付けて、光で飛ぶ熱の伝わりを抑える膜です(p.53)。Low-Eは「低放射」の意味です。

膜を付けた面は、熱の光を出しにくく、届いた熱の光をはね返します。部屋側のガラスに付いた膜は、温まったガラスが外へ向けて出す熱の光を減らします。

Low-Eのペアガラスの断面を大きくした絵。部屋側のガラスの、空気の層に面した側に、銀などの薄い膜が付いている。部屋の暖かさでガラスが温まる。膜の面から、熱の光は出にくく、はね返る。日の光(目に見える光)は膜を通る
図5 膜が部屋側のガラスに付いた例。

膜は、2枚のガラスのあいだの、空気の層に面した側に付けます(手引き p.54)。板硝子協会は、エコガラスの膜を「酸化亜鉛と銀をコーティングしたもの」と説明しています。

膜1枚で、熱が約4割通りにくくなる

手引きには、ガラスの種類ごとの熱の通しやすさ(熱貫流率)が載っています。数字が小さいほど、熱を通しにくいガラスです。

ガラスの真ん中の熱の通しやすさの横棒グラフ。1枚ガラス6.0、ペアガラス2.9、Low-Eのペアガラス1.8、Low-Eのペアガラス(ガス入り)1.6、Low-Eのトリプルガラス(膜2枚・ガス入り)0.76。数字が小さいほど、熱を通しにくい。枠を含まない、ガラスの真ん中の値

図6 ガラスの真ん中の熱の通しやすさ(手引き p.54 図3.4.5)。

空気の層12mmのペアガラスは2.9です。同じ12mmで膜が1枚付くと、1.8になります。アルゴンなどのガスを入れたものや、3枚ガラスのトリプルなら、さらに小さくなります。

どれも、ガラスの真ん中の値で、枠は含みません。数字の見方は「熱貫流率(U値)とは?」にあります。

透明なのに熱をはね返せるわけ

日差しには、目に見える光と、目に見えない日差しの熱があります。どちらも、波の短い光です。部屋の暖まった物が出す熱の光は、波のずっと長い光です。

Low-Eの膜と光の波の長さの絵。日差しは波が短く、膜を通る。暖まった部屋の物が出す熱の光は波が長く、膜ではね返る
図7

手引きも、取り込む型の膜は、波の短い日差しを部屋に通し、波の長い部屋からの熱の光をはね返す、と説明しています(p.53)。

日差しの熱を取り込む型と、さえぎる型

Low-Eのペアガラスには、日差しの熱を取り込む型と、さえぎる型があります(手引き p.53)。どちらも透明で、部屋の熱を逃がしにくいガラスです。違うのは、日差しの熱を部屋に入れるか、外ではね返すかです。

Low-Eの2つの型の断面の絵。取り込む型は、膜が主に部屋側のガラスにあり、日差しの熱を部屋に入れる。冬に日差しで暖まりたい窓に向く。さえぎる型は、膜が主に外側のガラスにあり、日差しの熱の一部を外ではね返す。夏の暑さを和らげるが、冬の日差しの暖かさも少なくなる。どちらの型も、部屋の熱を逃がしにくい
図8 膜の位置は、多くの製品の例。
  • 取り込む型:膜は、主に部屋側のガラスに付けます。日差しの熱を部屋に入れます。冬に日差しで暖まりたい窓に向きます
  • さえぎる型:膜は、主に外側のガラスに付けます。日差しの熱の一部を、外ではね返します。夏の暑さを和らげますが、冬の日差しの暖かさも少なくなります

日差しを受けたときに部屋に入る熱は、取り込む型で半分以上、さえぎる型で半分より少なめです(手引き p.53)。

どの窓に、どちらの型?

ガラスや窓のメーカーは、窓の向きで選ぶよう説明しています(日本板硝子、LIXIL)。

  • 冬に日が当たる南の窓:取り込む型。冬の日差しの暖かさを入れます。夏の日差しは、ひさしやシェードでさえぎります
  • 夏の西日が強い西の窓:さえぎる型
  • 日差しがあまり入らない北の窓:どちらの型でも、部屋の熱を逃がしにくくなります

内窓には、窓ごとにガラスの型を選べる製品があります(LIXIL)。冬の寒さと夏の西日の両方が気になる家は、窓ごとに分けて選べます。

取り込む型とさえぎる型は、どこが違うのか

日差しの熱の入り方が違うのは、ガラスの作りが違うからです。作りと性能の違いは、次のとおりです。

  • はね返す光の種類
  • 銀の層の数
  • 膜の位置
  • 色
  • 数字で比べると
  • 冬と夏の得意・不得意

はね返す光の種類

日差しには、明るさになる見える光と、目に見えない近赤外線などが入っています。ガラスメーカーの AGC の技術報告は、日差しの熱を部屋に入れないためには、主にこの近赤外線を入れないことだと書いています(旭硝子研究報告65、2015年)。

光の種類ごとの違いの絵。見える光(明るさ)は、どのガラスも通す。日差しの熱(主に近赤外線)は、取り込む型は多く通し、さえぎる型はよくはね返す。部屋の熱の光(波が長い光)は、透明のペアガラスは逃がしやすく、Low-Eはどちらの型もはね返す
図9
  • 取り込む型:部屋の熱の光をはね返し、日差しの近赤外線は多く通します
  • さえぎる型:部屋の熱の光に加えて、日差しの近赤外線もよくはね返します。そのぶん、日差し全体から部屋に入る熱が減ります(AGC の報告)

銀の層の数

AGC の技術報告にある設計の例では、取り込む型は銀1層の膜です。銀を厚くすると日差しまではね返すので、薄い膜のまま性能を出しています。

さえぎる型の例は、銀を2層・3層に分けて、ほかの薄い層と重ねます。見える光は通し、近赤外線を強くはね返すためです。銀の層は、厚さ数十ナノメートル(1ミリの数万分の1)の、とても薄い膜です(AGC の報告)。

銀の層の数の違いの絵。取り込む型は銀1層の薄い膜で、日差しの熱を通し、冬のポカポカ感を残す。さえぎる型は銀を2層・3層に分けて重ね、見える光は通し、日差しの熱をはね返す
図10

膜の位置

取り込む型は主に部屋側のガラスに、さえぎる型は主に外側のガラスに、膜を付けます。どちらも、空気の層に面した側です(手引き p.53)。膜の位置は、製品によって違うこともあります。取り込む型・さえぎる型の名前は、日差しの熱を通す量で決まります(板硝子協会)。

色

さえぎる型には、ブルーやグレー、緑がかった色に見える製品があります。取り込む型には、透明感を大事にした製品があります(AGC の報告)。

数字で比べると

板硝子協会の資料の例では、入ってくる見える光と、受けた日差しの熱を、それぞれ100とすると、次のようになります。

入ってくる見える光と、受けた日差しの熱を、それぞれ100としたときの横棒グラフ。見える光が通るのは、透明のペアガラス79、取り込む型73、さえぎる型67。日差しの熱が部屋に入るのは、透明のペアガラス74、取り込む型64、さえぎる型42

図11 見える光と日差しの熱を、それぞれ100とすると(板硝子協会「ビルと複層ガラス」表2.1の例)。

  • 明るさ(見える光が通る量):取り込む型73、さえぎる型67です。差は小さめです
  • 部屋に入る日差しの熱:取り込む型64、さえぎる型42です。さえぎる型は、取り込む型より約3分の1少なくなります
  • 部屋の熱の通しやすさ(小さいほど逃げにくい):この例では、取り込む型1.9、さえぎる型1.6です。どちらも、透明のペアガラスの2.9より小さくなります。冬の日差しの暖かさは、取り込む型のほうが多く入ります

数字はビル用のガラスの例で、製品ごとに違います。

冬と夏の得意・不得意

  • 取り込む型:冬の日差しのポカポカ感を残せます。AGC の報告では、寒い地域向けの製品です
  • さえぎる型:夏の日差しの熱を減らします。そのぶん、冬の日差しの暖かさも少なくなります(手引き p.53)。AGC の報告では、暖かい地域向けの製品です

手引きも、日差しの熱が多く入るガラスは暖房を大事にする部屋に、少ないガラスは冷房を大事にする部屋に向く、としています(p.57)。

家暖リフォームの内窓は、Low-Eのペアガラス

家暖リフォームの内窓は、今ある窓の部屋側に、樹脂枠の窓をもう1つ足す工事です。

家暖リフォームの内窓の断面の絵。今ある窓の部屋側に、樹脂枠とLow-Eのペアガラスの内窓を足す。部屋の暖かさで内窓のガラスが温まり、膜の面から熱の光が外へ逃げにくい
図12

手引きによると、1枚ガラスの窓では「室内の7割近くのスペースが低温になる」そうです。Low-E複層ガラスなどなら、窓辺が低温になるのを大幅に抑えられます(p.20)。

それぞれ経験豊かな専門業者とタッグを組み、信頼性の高い工事を行っています。内窓取り付け工事は1〜2日ほどで、住みながらできます。内窓のガラスを取り込む型にするか、さえぎる型にするかは、現地調査のときにご相談ください。

内窓を付けた冬の部屋の変わり方は「内窓を付けると冬の部屋はどう変わる?」にあります。料金の目安は、プラン・料金案内に載せています。

よくある質問

今の窓がLow-Eか、見分けられますか?

板硝子協会のエコガラスのマークがあれば分かります。板硝子協会のエコガラス(Low-Eの膜を付けた複層ガラス)には、マークが貼ってあるか、刻んであります。マークが見つからなくても、Low-Eではないとは言い切れません。現地調査のときにご相談ください。

夏の暑さにも効きますか?

型によります。さえぎる型なら、日差しを受けたときに部屋に入る熱を、より少なくできます(建築研究所の表)。

Low-Eのトリプルガラスもありますか?

あります。3枚のガラスのうち1枚以上に、膜を付けたガラスです(手引き p.54)。家暖リフォームの内窓は、トリプルガラスにも対応しています。費用はペアガラスのおよそ1.5倍です。

相談するとき

現地調査には、必ず専門の職人が伺います。時間は1〜2時間ほどです。現地調査とお見積りは無料で、金額を見てから断ることもできます。

電話では「現地調査をお願いします」と伝えるだけでかまいません。受付は、基本的に平日です。

電話:0120-1181-46(フリーダイヤル)
お問い合わせ:お問い合わせフォーム

この記事の出典

  • 木を活かす建築推進協議会「住宅省エネルギー技術講習テキスト 設計・施工編 全国(4〜7地域)版[第2版]」(令和2年度 国土交通省補助事業、令和3年3月)p.20、p.34、p.53、p.54(図3.4.5)、p.56(表3.4.3の注)、p.57、p.62(表3.5.1)
  • 板硝子協会 エコガラス「よくあるご質問」
  • 板硝子協会「住宅・建築物の省エネルギー基準とエコガラスについて」
  • 建築研究所「平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅)」第三章第四節「日射熱取得率」Ver.21(2026年10月)3-4-15 付録C 表1
  • AGC 旭硝子研究報告65(2015)矢尾板和也「建築用高性能Low-Eガラスの開発」p.3〜4
  • 板硝子協会「ビルと複層ガラス」表2.1(中小企業基盤整備機構 J-Net21「窓への省エネ対策はどんなものがありますか?」に引用)
  • 日本板硝子「窓の断熱・遮熱を高めるLow-Eガラス入門」(2025年11月)
  • LIXIL「インプラス えらべるガラス」
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