池永征司(家暖リフォーム/株式会社コンクレタス 代表取締役社長)
コンクリート製品の開発と販売を手がけ、UA値0.19のコンクリート製の超高断熱住宅を開発しました。その経験をもとに、大分で家を壊さない断熱リフォームを始めました。記事は、現場で見てきたことと、国や研究機関の資料をもとに書いています。
夜、2階の寝室に上がると、空気がひやっとする。うちの天井の断熱材は50mmらしい。だから寒いのだろうか。
結論:50mmは国の目安の4分の1ほど。230mm足すと、天井から逃げる熱は約5分の1
- 天井のグラスウール50mm(5cm)の熱の通りにくさは、国の新築の目安の4分の1ほどです
- 今ある50mmの上に230mmを足すと、天井から逃げる熱は、計算で今の約5分の1になります。天井を通る熱の計算で、電気代や室温が5分の1になる数字ではありません。夏に天井裏から入る熱も、同じ計算で約5分の1です
- 同じ厚さでも、すき間や入れ忘れで効きが落ちます。壁と天井の境目、埋め込み照明のまわり、押入れの上などです
- 家暖リフォームは、今ある断熱材を基本的に取り除かず、その上にグラスウールを吹き込みます。沈む分を見込んで多めに吹き込み、標準で230mmにします
- 窓・壁・床からも熱は逃げます。天井の工事は、窓や床の工事と組み合わせられます
天井裏の今の断熱の状況は、無料の現地調査で確かめます。現地調査には、必ず専門の職人が伺います。

50mmは、国の新築の目安の4分の1ほど
大分県のガイドラインが古い家に想定するグラスウールなら、50mmの熱の通りにくさ(熱抵抗)は1.0です。国の新築の目安4.0の4分の1です。熱抵抗は、大きいほど熱を通しにくくなります。
グラスウールは、綿のような断熱材です。国の目安は、木造戸建ての新築の省エネ基準の値です(国の仕様基準のガイドブック)。大分県は、どの市町村でも、天井の目安が4.0です(大分県のガイドラインの地域の区分から)。
セーターにたとえると、50mmは薄手のセーター1枚です。国の目安は、同じセーターを4枚重ねたくらいです。

図2 天井の断熱材の熱抵抗。大きいほど熱を通しにくい(国の換算表、国の仕様基準のガイドブック)
1980〜90年代の家は、50mm前後のことがある
昭和55年〜平成11年(1980〜90年代)ごろの家は、天井の断熱材が50mm前後のことがあります。大分県のガイドラインの想定と、国の基準の例(Ⅳ地域)の厚さです(図3)。
お宅の天井裏は、現地調査で今の断熱の状況を確かめます。家暖リフォームが現場で見てきた範囲では、100mm程度の家が多いです。100mmでも、大分県が想定する種類なら熱抵抗は2.0ほどで、目安の半分です。

図3 天井の断熱材の厚さ。国の基準の例と、大分県の想定(大分県のガイドライン、国土交通省 住宅局の資料)
上に230mm足すと、天井から逃げる熱は約5分の1
230mmは、今ある断熱材の上に足す厚さです。今ある50mmの上に230mmを足すと、天井から逃げる熱は、計算で今の約5分の1になります。天井を通る熱の計算で、電気代や室温が5分の1になる数字ではありません。大分県のガイドラインにある古い家のモデルの天井で計算した値です。夏に、暑い天井裏から部屋へ入る熱も、同じ計算で約5分の1です。
重ねたときの熱抵抗は、それぞれの値の足し算です(国の仕様基準のガイドブック)。セーターの重ね着と同じです。今ある50mm(熱抵抗1.0)がきちんと入っていれば、230mm(約4.4)と合わせて約5.4です。230mmだけでも、国の新築の目安4.0を上回ります。

図4 熱抵抗は足し算。大きいほど熱を通しにくい(足し算は国の仕様基準のガイドブック。約4.4は230mmの厚さから、5分の1は大分県のガイドラインのモデルから計算)
厚みのほかに見るのは、すき間・壁と天井の境目・照明・入れ忘れ
天井の断熱は、厚さが同じでも、入り方で効きが落ちます。国の設計・施工の手引きは、次の所に注意するよう書いています。
- 断熱材と木のあいだ。天井を吊る木(吊木)のまわりは、断熱材を浮かせず、すき間なく入れる所です
- 壁と天井の境目。外壁の上はすき間ができやすく、部屋を仕切る壁の上は断熱材が途切れがちです
- 天井に埋め込んだ照明(ダウンライト)。照明の種類で、上にかぶせられる断熱材の厚さが決まっています
- 押入れやクローゼットの上の入れ忘れ。天井裏に上がるふた(点検口)のまわりも、断熱を途切れさせない処理が要ります

壁と天井の境目のすき間は、詰め物でふさげます。この詰め物を、気流止めといいます。しくみは「気流止めとは?」にあります。
手引きには、壁の柱のあいだにグラスウールを入れた実験の例があります。すき間があると、100mmが67mm分の効きでした(1つの実験の値)。天井でも、すき間で温度が下がる例があります。鳥取県の改修テキストの熱画像(温度を色で写した写真)では、100mmを二重に敷いた現場でも、端のすき間が冷えています。

図6 同じ100mmでも、入れ方で効きが変わった例(壁での実験。国の設計・施工の手引き)
すき間や入れ忘れは、部屋の中からは見えません。現地調査には、必ず専門の職人が伺います。天井裏に入り、今の断熱の状況を確かめます。

窓・床と組み合わせて、家全体の逃げ道をふさぐ
天井から逃げる熱は、家全体の一部です。大分県のガイドラインにある古い家のモデルで計算すると、窓・壁・床・天井などから逃げる熱のうち、天井の分は1割強です。モデルは、県が県内の家の例から年代ごとに想定した、計算のための家です。
床と壁の境目のすき間からも、床下の冷たい空気が壁の中に入り、天井裏へ抜けます(国の設計・施工の手引き)。手引きは、これを家全体の断熱の力を下げる大きな原因に挙げています。
天井の工事は、窓の内側に足す内窓や、床下の断熱、床と壁の境目の気流止めと組み合わせられます。どこから直すかは「家を暖かくするリフォームはどこから?」に書きました。

図8 古い家のモデルで、天井から逃げる熱の割合(大分県のガイドラインのモデルの数字からの計算)
家暖リフォームでできること
家暖リフォームの天井断熱は、ほぐしたグラスウールを天井の上に吹き込む工事(ブローイング)です。材料は、マグ・イゾベールの「マグブローライト」です。沈む分を見込んで多めに吹き込み、標準で230mmにします。230mmで熱抵抗はおよそ4.4で、国の新築の目安4.0を上回ります。
オプションで300mmにもできます。今ある断熱材と合わせると、照明の種類によっては、かぶせてよい厚さを超えることがあります。埋め込み照明がある家は、照明のまわりの扱いを現地調査でご相談ください。
今ある断熱材は、基本的に取り除かず、その上に吹き込みます。綿は、今ある断熱材や天井の木の上にも載り、一面の層になります。可能な家では、天井裏から壁の上側のすき間をふさぎます(気流止め)。
天井断熱だけの工事も請けます。ほかに、今の窓の内側に窓を足す内窓(窓暖プラン)があります。床下の断熱と、床と壁の境目の気流止めを合わせた床暖プラン(床暖房ではありません)もあります。工事は家を壊さず、住みながらでき、ほとんどの家で数日です。
それぞれ経験豊かな専門業者とタッグを組み、信頼性の高い工事を行っています。料金の目安は、プラン・料金案内に載せています。

よくある質問
今ある50mmの断熱材は、取り除きますか?
基本的に取り除かず、その上に吹き込みます。今ある断熱材がきちんと入っていれば、その熱抵抗に、吹き込んだ分を足せます。
天井の断熱材の厚さは、自分で確かめられますか?
天井裏に入るのは危ないので、ご自分では入らないでください。現地調査で、職人が天井裏に入り、今の断熱の状況を確かめます。
点検口が無い家でも、見てもらえますか?
見える範囲で確かめます。ご希望があれば、天井裏に上がるふた(点検口)を作ることもできます(費用は別にかかります)。
相談するとき
現地調査には、必ず専門の職人が伺います。入れる家は床下・天井裏に入り、入れない家は見える範囲で、今の断熱の状況を調べます。時間は1〜2時間ほどです。
現地調査とお見積りは無料です。金額を見てから、断ることもできます。使える補助金があるかは、現地調査のときにご相談ください。天井断熱の工事は、日程によりますが、現地調査から工事に入るまで1か月以内が目安です。
電話では「現地調査をお願いします」と伝えるだけでかまいません。受付は、基本的に平日です。
電話:0120-1181-46(フリーダイヤル)
お問い合わせ:お問い合わせフォーム
この記事の出典
- 木を活かす建築推進協議会「住宅省エネルギー技術講習テキスト 設計・施工編―全国(4〜7地域)版―」(令和2年度国土交通省補助事業、令和3年3月)。本文では「国の設計・施工の手引き」(国土交通省の補助事業で作られた手引き)。ページは紙面に印刷された番号
- p.41(表3.3.2 断熱材の施工状態と熱貫流率。壁の実験値)、p.74(気流止め)、p.112(外壁と天井の取合い部)
- p.113(吊り木まわり)、p.115(押入れの上、照明器具)、p.116(間仕切り壁の上部)、p.131(埋込み型照明器具、点検口)
- 木を活かす建築推進協議会「建築物省エネ法 木造戸建住宅の仕様基準ガイドブック2022 省エネ基準編 4〜7地域版」(国土交通省 編集協力)PDF p.13(紙面p.24。天井の熱抵抗4.0)、PDF p.10(紙面p.19。熱抵抗の足し算、数値が大きいほど断熱性能が高い)
- 横浜市「省エネ基準講習会資料」(国土交通省「省エネ技術解説テキスト」令和5年11月時点版の換算表を転載)PDF p.2。グラスウール50mmの熱抵抗は、種類によって1.0〜1.6。大分県が古い家に想定する10K(通常品10-50)で1.0
- 大分県「おおいためじろオシ住まいガイドライン」第4章 戸建て改修。p.4-P1(年代ごとの断熱材の想定。天井はグラスウール10K)、p.4-P14〜15(モデルの面積)、p.4-P18(既存の天井 GW45mm・熱抵抗0.9)
- 大分県「おおいためじろオシ住まいガイドライン」第3章 戸建て新築 p.3-P5(大分県は全域が5〜7地域)
- 国土交通省 住宅局 住宅生産課「住宅・建築物の省エネルギー施策について」(平成26年2月24日)印刷の番号 p.10(PDF p.11。基準ごとの断熱仕様の例。Ⅳ地域の仕様。密度の記載なし)
- 鳥取県「とっとり健康省エネ住宅改修テキスト Ⅳ Re NE-ST 改修」(2023年6月)紙面p.47(天井の熱画像)
- マグ・イゾベール「マグブローライト」製品ページ(熱伝導率0.052。230mmの熱抵抗およそ4.4は、0.23÷0.052の計算)
- 家暖リフォーム 天井断熱工事のページ(標準230mm、オプション300mm)
- 「天井の分は1割強」と「約5分の1」は、家暖リフォームの計算。
- 1割強:大分県のガイドライン 表4-4-4 のモデルの面積を使った。外皮312.29㎡、うち天井67.90㎡。表4-1-1 の天井のU値0.93と、UA値1.73・1.55を当てた。1980年代で約12%、1990年代で約13%。換気で逃げる熱は含まない
- 約5分の1:今の天井(45mm 熱抵抗0.9、または50mm 1.0)に230mm(約4.4)を足すと、U値は約0.18。今のU値(0.93、0.85)との比。表面の熱抵抗は表4-1-1から逆算した約0.175。温度差を一定にした計算で、冬に逃げる熱と夏に入る熱のどちらにも同じ比が当たる。室温や電気代の数字ではない

