池永征司(家暖リフォーム/株式会社コンクレタス 代表取締役社長)
コンクリート製品の開発と販売を手がけ、UA値0.19のコンクリート製の超高断熱住宅を開発しました。その経験をもとに、大分で家を壊さない断熱リフォームを始めました。記事は、現場で見てきたことと、国や研究機関の資料をもとに書いています。
朝、フローリングに足をついた瞬間、ヒヤッとする。暖房をつけても足元だけ冷たくて、どこかから風が来ている気がする。
結論:足元の冷気の対策は、床下の断熱と気流止め、窓は内窓
足元の冷えには、5つの場所が関わります。
- 床下。換気口で外とつながり、外の空気が通ります
- 床と壁の境目。巾木(床と壁のつなぎ目の細い板)のまわりに、すき間ができます
- 壁の中。床下の空気が入り、上へ抜けます
- 窓。ガラスで冷えた部屋の空気が、床へ下ります
- 冷えた壁。壁で冷やされた部屋の空気が、床へ下ります
すきま風のほかに、床そのものの冷たさがあります。
家暖リフォームは、床暖プラン(床暖房ではありません)で、1階の床と壁の下側を工事します。
- 床板のすぐ下に断熱材を入れて、床の冷たさを和らげます
- 壁の下側のすき間をふさぎます(気流止め)
どこまで変わるかは家ごとに違います。部屋から見える巾木のまわりには、手を加えません。工事は床の下から行います。
窓には、今の窓の内側に窓を足す内窓があります。窓のすきま風を防げて、ガラスで冷えて下りる空気にも効きます。
壁で家暖リフォームにできるのは、壁の中を通る冷たい空気を、気流止めで減らすところまでです。
今の断熱の状況は、無料の現地調査で調べます。現地調査には、必ず専門の職人が伺います。

※イメージ図です
床が冷たいと、部屋を暖めても寒く感じる
体が感じる温度は、床や壁の表面の温度で変わります。室温が20℃でも、床や壁の表面が10℃なら、体は15℃ほどに感じます(国の手引きのイメージ図)。

※イメージ図です
大分県のガイドラインは、県内の古い家に、床に断熱材が無いものを想定しています。1980〜90年代の家の想定でも、板の床で断熱材は25〜30mmほどです。
アンケートで集めた声では、100人中70人が、冬に寒い場所に「床・足元」を選びました。窓にすきま風防止のテープを貼り、厚手のラグを敷いた人は、こう答えています。
「隙間風は少し減りましたが、足元の冷え込みにはあまり大きな効果はありませんでした」(宮崎県・50代)
床下は、外の空気が通る所
床下は、換気の穴(換気口)で外とつながっています。大分の冬は、この外の空気が、冷蔵庫の中に近い冷たさまで下がります(気象庁の平年値)。
換気口は、冬でもふさがないでください。床下の湿気を外へ逃がす穴です(建築基準法施行令22条)。床の冷たさは、床板のすぐ下の断熱で和らげます。

※イメージ図です
床と壁の境目は、床下の空気の通り道になる
床を支える木が乾いて縮むと、巾木と床のあいだが開くことがあります。国の研究所が建てた実験用の家1棟では、夏にほとんど無かったすき間が、冬に広がりました(国の研究所の資料)。

※イメージ図です。すき間は大きく描きました
階段や押入れの話は「押入れや階段の下が寒いのはなぜ?」に、家全体の話は「すきま風はどこから来る?」にあります。
床下の冷たい空気は、壁の中も通る
床下の冷たい空気は、壁の下側のすき間から壁の中に入ることがあります。部屋を仕切る壁の中は、床下から天井裏まで、空気が抜けることがあります(国の手引き)。
部屋を仕切る壁に気流止めが無いと、床下の冷たい空気が、断熱材の無い壁の内側を通ります。北海道の研究所が、実物大の模型の実験と計算で確かめました。コンセントの箱のような穴は、壁の中と部屋をつないでいます。

※イメージ図です
窓から下りる冷気は、部屋の中で起きる
部屋の空気が窓ガラスで冷えて下り、床に沿って流れます(国の手引き、LIXILの解説)。1枚ガラスの窓は、足元が冷えやすい窓です。
「特に床が冷たく感じるので、窓際のソファに座っていても足が冷えてしまいます」(アンケートで集めた声。大分県・40代)

※イメージ図です
窓ぎわの足元が冷える家は、窓で冷えた空気や、窓のすき間から入る空気が関わることがあります。床下も関わるかは、家によります。窓の冷気のしくみは「窓際の冷気の正体」にあります。
外に面した壁でも、冷えた空気が下りる
冬は外の寒さで壁が冷え、部屋の空気が壁で冷やされて下ります。下りた空気は、床の上をゆっくり流れて足元を冷やします(発泡スチロール協会の用語集)。
断熱が足りない家では、壁の表面の温度が下がりやすくなります。壁の中に冷たい空気が入ると、壁の断熱の力も落ちます(国の手引き)。
すき間から入る風とは別の流れなので、すき間をふさいでも無くなりません。壁で家暖リフォームにできるのは、壁の中を通る冷たい空気を、気流止めで減らすところまでです。

※イメージ図です
床下の今の様子は、職人が入って調べる
現地調査には、必ず専門の職人が伺います。入れる家は職人が床下に入り、今の断熱の状況を調べます。床下は狭く暗いので、ご自分で入るのは勧めません。
家でできるのは、寒い場所と時間帯を書き出すことです。
- いつ寒いか(朝起きたとき、夜など)
- どこが寒いか(台所、廊下、窓ぎわのソファなど)
- どう寒いか(風が当たる感じ、床が冷たい感じ)
工事の中身は、今の断熱の状況とこのメモをもとに決められます。

※イメージ図です
家暖リフォームでできること
床暖プランは、床の冷たさを和らげ、壁の中へ入る空気のすき間を、壁の下側でふさぐ工事です。
職人が床下点検口から入り、床板を支える木のあいだに、厚さ80mmの断熱材のボードをはめ込みます。厚さだけで比べると、1980〜90年代の家に想定される25〜30mmの約3倍です。
1階の外壁と部屋を仕切る壁の下側のすき間には、グラスウールを詰めてふさぎます。気流止めをしても、空気が完全に止まるとは限りません。グラスウールは、ガラスを細い繊維にした、綿のような断熱材です。

※イメージ図です。厚さや寸法は実物どおりではありません
壁の中に断熱材を入れる工事は、壁をはがす工事になるため、家暖リフォームでは基本的に行っていません。壁の中を通る冷たい空気は、気流止めで減らします。
内窓(窓暖プラン)は、今の窓の内側に、樹脂枠のペアガラスの窓を足す工事です。窓のすきま風を防げて、ガラスで冷えて下りる空気にも効きます。
工事は家を壊さず、住みながらでき、ほとんどの家で数日です。断熱材の脱落と厚み減少は、気流止めの詰め物を含めて1年保証です。それぞれ経験豊かな専門業者とタッグを組み、信頼性の高い工事を行っています。料金の目安は、プラン・料金案内に載せています。
足元をもっと変えたい家は、窓や天井と組み合わせる
床下の工事には、内窓や天井断熱を組み合わせられます。天井断熱をするときは、可能な家では天井裏から壁の上側もふさぎます。
窓・天井・壁・床をまとめて直した石川県の木造の家では、足元との温度差が縮みました。床暖プランより広い工事の例です(国土交通省のパンフレット)。

図10 床から110cmと30cmの室温の差(国土交通省のパンフレット。石川県穴水町の1軒)
※暖房している部屋の値
2階の床は工事をしません。断熱は、暖房の熱を家の中にとどめる工事です。暖房と一緒に使います。
よくある質問
床下収納のふたのまわりが寒いのですが、そこが原因ですか?
原因の1つです。ただ、実験用の家では、巾木のまわりよりずっと小さいすき間でした。家暖リフォームがすすめるのは、床下の断熱と気流止めです。
床下の断熱だけ、気流止めだけでもいいですか?
家暖リフォームでは、気流止めだけの工事は行っていません。床下の断熱と合わせた床暖プランで行います。片方だけだと、もう片方が残ります。断熱材のボードだけなら壁の下の通り道が残り(北海道の研究所の実験)、気流止めだけなら床板の冷たさが残ります。
和室の足元が特に冷えます。気流止めで変わりますか?
変わる所と、変わらない所があります。床暖プランの気流止めでふさぐのは、和室の壁の下側のすき間です。壁の上側は、天井断熱をするときに、可能な家でふさぎます。畳と畳のあいだのすき間は、気流止めでは変わりません。和室の床の下に断熱材を入れられるかは、現地調査で決まります。和室でも、家暖リフォームがすすめるのは床暖プランです。
相談するとき
現地調査には、必ず専門の職人が伺います。入れる家は床下・天井裏に入り、入れない家は見える範囲で、今の断熱の状況を調べます。床下や天井裏に入るふた(点検口)を、新しく作ることもできます(費用がかかります)。時間は1〜2時間ほどです。
寒い場所と時間帯を書いたメモは、そのときに職人に見せてください。
現地調査とお見積りは無料です。金額を見てから、断ることもできます。使える補助金があるかは、現地調査のときにご相談ください。床下の工事は、日程によりますが、現地調査から工事に入るまで1か月以内が目安です。
電話では「現地調査をお願いします」と伝えるだけでかまいません。受付は、基本的に平日です。
電話:0120-1181-46(フリーダイヤル)
お問い合わせ:お問い合わせフォーム
この記事の出典
- 発泡スチロール協会「EPS建材関連用語集」コールドドラフトの項(Weblio辞書の掲載で確認)。外壁と窓の両方を挙げている
- 建築基準法施行令 第22条(居室の床の高さ及び防湿方法)
- 木を活かす建築推進協議会「住宅省エネルギー技術講習テキスト 設計・施工編―全国(4〜7地域)版―」(令和2年度国土交通省補助事業、令和3年3月)。本文では「国の手引き」。ページは紙面に印刷された番号
- p.18(体感温度。室温20℃・表面温度10℃・体感15℃はイメージ図の値)、p.20(コールドドラフト)、p.39(気流止めが無いと断熱性能が下がる)
- p.49(壁の上下の気流止め、間仕切り壁の煙突状態)、p.91(壁と床の取合い部)
- 国土技術政策総合研究所 プロジェクト研究報告 第25号 第2章「躯体断熱及び設備改修技術の低コスト化・簡易化技術の開発」。本文では「国の研究所が建てた実験用の家」「実験用の家」。ページは第2章の PDF の通し番号(印刷の番号は+4)
- 茨城県つくば市の建築研究所内の実験棟1棟。20年ほど前の仕様を想定した在来軸組の試験体で、内装は実験用
- p.1(実験棟の仕様)、p.13(巾木と床のすき間の夏と冬。報告は、改修の実験で少しずつ広がった可能性も挙げる)、p.14(1階和室の畳は気流止めに影響されない所)
- p.15(図2.3.2)。棒グラフから読んだ値:LDKの床下収納庫2個 約4cm²、巾木のまわり 約190cm²
- 建築研究所 平成20年度講演会テキスト 桑沢保夫「既存住宅の省エネルギー改修に関する研究」。本文では「国の研究所の資料」。PDF の通し番号 p.2(ヒアリングの項目「暑さや寒さを感じる場所や時間帯」)、p.3(巾木と床の取合い)
- 北方建築総合研究所 調査研究報告 No.380(2017年3月)。本文では「北海道の研究所」。ページは PDF の通し番号
- p.26〜27(床の断熱材だけの壁は、グラスウールボード32K 根太間42mmで有効開口面積4.81 cm²/m、大引間80mmで18.45 cm²/m)
- p.31(気流止めを入れた壁は1 cm²/m程度以下。床下からの施工では1.1 cm²/m程度以上)
- 北海道立総合研究機構 建築研究本部「断熱改修が室内温熱環境およびエネルギー消費量に与える効果の見える化」令和3〜5年度 経常研究(間仕切り壁の中の空気の模型実験と計算)
- 国土交通省 部分断熱等実証委員会「ご自宅の中でよく使う生活空間から優先して断熱改修しませんか?」(令和6年6月)。本文では「国土交通省のパンフレット」。紙面 p.7〜8(石川県穴水町の昭和51年の木造2階建て。1階の窓・天井・壁・床を等級4相当に改修)、p.11(相談する悩みの例)
- 大分県「おおいためじろオシ住まいガイドライン」第4章 戸建て改修 表4-1-1(p.4-P1)
- 年代ごとの床の想定。無断熱、1980年代 GW25mm、1990年代 GW30mm(どちらも10K)
- 約3倍は、80mmとの厚さだけの比べ
- 気象庁 平年値(大分、1991〜2020年。1月の日最低気温の平均2.6℃)
- LIXIL 減災プロジェクト「猛暑・厳しい寒さ対策には窓の断熱が大切!夏・冬別に断熱方法を解説」(窓の冷気)
- 家暖リフォームのアンケート「冬の家の寒さについて」(2026年11月1日回収。九州の戸建てについての答え100件、ランサーズで募集した有料のアンケート。寒い場所は複数選択。引用は、引用に同意した人の答え)

