池永征司(家暖リフォーム/株式会社コンクレタス 代表取締役社長)
コンクリート製品の開発と販売を手がけ、UA値0.19のコンクリート製の超高断熱住宅を開発しました。その経験をもとに、大分で家を壊さない断熱リフォームを始めました。記事は、現場で見てきたことと、国や研究機関の資料をもとに書いています。
お風呂を替えるなら、冷えにくいものにしたい。でも、メーカーで何が違うのかは、カタログを見ても分かりにくいです。
結論:高断熱浴槽で、壁・天井・床に保温材がしっかり入っているものを選ぶ
メーカーは、お好みで選んでかまいません。選ぶときは、次の2つを見てください。
- 浴槽は、国の規格(JIS A 5532)の「高断熱浴槽」に当たるタイプを選ぶ。湯船のお湯が冷めにくくなります
- 壁・天井・床のどれにも、保温材(断熱材)がしっかり入っているものを選ぶ。浴室の空気が冷めにくくなります。カタログと見積りで、壁・天井・床のそれぞれに保温材が付くか(オプションなら見積りに入っているか)を確かめてください。保温の程度は、家暖リフォームがメーカーの仕様で確かめます
JISの高断熱浴槽は、湯船のお湯の基準です。浴槽がJISに当たっていても、それだけでは、お風呂場の暖かさは分かりません。お風呂場の暖かさは、2つめの壁・天井・床の保温材で見ます。
浴室暖房乾燥機も、おすすめです。保温材は浴室を冷めにくくするもので、暖めるものではありません。家暖リフォームの社長も、現場で「断熱材が入っても薄くて寒くなりがち」と話しています。浴室暖房乾燥機なら、入る前に浴室を暖めておけて、雨の日は洗濯物も乾かせます。
どのシリーズ・どの仕様にするかは、お宅の床下や浴室の寒さを見て、家暖リフォームがアドバイスします。

図1 選び方のまとめ
- 高断熱浴槽は、決まった試験で、4時間でお湯の温度の下がりが2.5℃以内の浴槽です
- メーカーが指定する保温のふたも付けます。ふたが無いと、高断熱浴槽に当たらないとするメーカーがあります。ジェットバスなど、対象から外れる仕様もあります
- 壁・天井・床の保温材は、メーカーによって標準とオプションに分かれます。メーカー2社の試験では、付けた浴室の空気は、付けない浴室より、30分後に7.1℃、45分後に約8℃高い結果でした
- 床下が冷たい家は、床の保温を強めた仕様にします
- 国の補助金(みらいエコ住宅2026事業)は、居間などの窓の断熱工事と組み合わせ、条件を満たすと、登録された高断熱浴槽に1戸48,000円が出ます。浴室だけの工事では出ません
断熱ユニットバスとは
ユニットバスは、床・壁・天井・浴槽がひと組になったお風呂です。断熱のユニットバスは、その裏側に保温材を付けています。保温材は、発泡スチロールなど、熱を通しにくい材料です。

JISの「高断熱浴槽」とは:4時間で2.5℃以内
JIS(日本産業規格)の浴槽の規格 JIS A 5532 には、保温の性能で分けた区分があります。「高断熱浴槽」は、前からある保温の基準よりきびしい区分です。試験は、JIS A 1718 の「高断熱試験」で行います(日本建材・住宅設備産業協会の報告書)。

図3 前からある保温の基準と、高断熱浴槽の基準(日本建材・住宅設備産業協会の報告書から)
高断熱浴槽の試験は、周りが10℃の寒い条件です。40℃のお湯を深さの7割まで張り、4時間でお湯の温度の下がりが2.5℃以内なら合格です(図4)。前からある保温の試験は、「2時間で5℃以内」なら合格でした。高断熱浴槽の試験は、周りがより寒い条件で、「4時間で2.5℃以内」と合格もきびしくなっています。
カタログの「高断熱浴槽」の表示や、メーカーが出す適合の宣言(自己適合宣言)で確かめられます(パナソニック、LIXIL)。LIXILが比べた図(42℃から測った図)では、保温材の無いふつうの浴槽は、4時間で約7℃下がっています。

図4(日本建材・住宅設備産業協会の報告書から)
カタログや見積りでは、次の名前で出てきます(2026年10月時点)。標準で付くかは、シリーズやタイプで違います。
- TOTO:魔法びん浴槽
- LIXIL:サーモバスS
- パナソニック:保温浴槽Ⅱ・保温浴槽(ソシエVのUV・MV)
- タカラスタンダード:高断熱浴槽と断熱風呂フタ
- クリナップ:高断熱浴槽(断熱組フタと浴槽保温材)
- トクラス(古い資料ではヤマハリビングテック):AXIYは高断熱浴槽が標準
高断熱浴槽は、ふたを閉めて使う
LIXILは、保温のふたが無いと高断熱浴槽に当たらない、としています。パナソニックも、指定の断熱のふたを使うことを条件にしています。
日本建築学会の論文では、ふたを開けていると、高断熱浴槽でも断熱の効き目がはっきり見られませんでした。

次のときも、お湯はカタログの数字より早く冷めます。
- 冬に給湯器が、配管の凍結を防ぐため、浴槽のお湯を回すとき(TOTO・LIXIL・クリナップ)
- ジェットバスを付けたとき(クリナップ。パナソニックでは高断熱浴槽の対象外)
壁・天井・床:浴室ごと保温する仕組み
浴槽のほかに、壁・天井・床にも保温材を入れる仕組みがあります(2026年10月時点)。
- TOTO(サザナ):床の「ほっカラリ床」は、P・T・S・Fタイプで標準です。天井と壁の「断熱材パック」はオプションです
- LIXIL(スパージュ):壁・天井・床の保温材は、全部のタイプで標準です
- パナソニック:「床・壁・天井断熱」
- タカラスタンダード:「パーフェクト保温」。壁のパネルの裏に、発泡ウレタンを吹き付けています
- クリナップ(ラクヴィア):「浴室まるごと保温」。天井・壁・浴槽の前の板・床に保温材が入ります
- トクラス(AXIY):壁・天井・床の「フル断熱」は、オプションです

保温材の厚み:商品ページでは見当たらない
保温材だけの厚みは、6社の商品ページでは見当たりません。クリナップは、全体の厚みを出しています。
クリナップのラクヴィアは、保温材を含んだ天井が25mmです。壁のパネルは、前の25mmから14mmに薄くして、浴室全体の保温性能は保った、と説明しています。厚みの数字だけでは、保温の強さは分かりません。

図7 クリナップ ラクヴィアの天井と壁のパネルの厚み(クリナップの説明から)
U値:床だけ、数字が出ている
U値は、熱の通しやすさを表す数字です。小さいほど、熱を通しにくい床や壁です。同じメーカーの中で、床の仕様を選ぶときの目安になります。
ユニットバスでは、LIXILとパナソニックが、床のU値を計算値で出しています。壁と天井のU値は、両社の資料にもありません。

図8(パナソニックの資料から。2025年2月)
同じパナソニックのオフローラでも、床の「標準断熱仕様」は、「高断熱仕様」のおよそ1.7〜1.8倍、熱を通す計算です。「標準断熱仕様」は、パナソニックの呼び名で、断熱が弱いほうの床です。LIXILとパナソニックのU値は、浴槽の材質など、計算の前提が違います。
床下が冷たい家は、ユニットバスの床を見る
床で断熱する家は、床下に外の空気が通ります。国土交通省の新築向けの手引きでは、この家のユニットバスの下は、外に近い温度になるとしています。手引きは、下が断熱されたユニットバスを使い、まわりのすき間をふさぐよう示しています。

図9(イラスト。国土交通省の新築向けの手引きから)
同じ手引きでは、壁の中に断熱材を入れる家の場合、浴室まわりの断熱はユニットバスを取り付ける前に済ませます。取り付けた後では、施工しにくいためです。
お宅の床下がどうなっているかは、現地調査で見ます。
壁・天井にも保温材があると、浴室の空気は冷めにくい
高断熱浴槽は、主に湯船のお湯を冷めにくくします。壁・天井などの保温材は、浴室の空気を冷めにくくします。メーカー2社の試験では、保温材を付けた浴室の空気は、付けない浴室より、30分後に7.1℃、45分後に約8℃高い結果でした(図10)。オプションのメーカーなら、見積りに保温材が入っているかを確かめます。

図10(各社の図から。2026年10月時点)
クリナップの試験では、入浴の30分後の浴室の空気は、ラクヴィアが20.6℃、保温材のない仕様が13.5℃でした。トクラスの試験では、AXIYのフル断熱を付けた浴室の空気が、付けない浴室より、45分後に約8℃高い結果でした。
クリナップの試験では、入浴前の浴室は、ラクヴィアのほうが約3℃低い所から始まっています(グラフの読み取り)。低い所から始まって、30分後には高くなっていました。
この数字は、同じメーカーの中で、それぞれの試験の条件で、保温材の有る無しを比べたものです。家の浴室で同じ差が出るとは限りません。2社は試験のやり方が違うので、メーカー同士は比べられません。カタログの数字の見方は、家暖リフォームが説明します。
入る前に暖める
消費者庁は、温度差による事故を防ぐため、入る前に脱衣所や浴室を暖めておくよう呼びかけています。浴室を暖めるのには、浴室暖房乾燥機が便利です(TOTO・LIXIL・パナソニック・タカラスタンダード)。ユニットバスを替えるときに、一緒に付けることができます。

補助金:窓の工事と一緒に
国の「みらいエコ住宅2026事業」では、高断熱浴槽に1戸48,000円の補助があります。補助を受けるには、決められた窓やドアの工事を一緒にします。

図12(みらいエコ住宅2026事業の手引きから)
決められた工事は、居間や寝室など1部屋の、外に面した窓やドアをすべて断熱改修する工事です。浴室や脱衣所は、この1部屋に選べません。家が建った年、窓の製品の性能、目指す省エネの基準によって、ほかの断熱工事や設備が要ることもあります。お宅の場合は、現地調査のときにご相談ください。
この事業で申請する補助の合計は、原則5万円以上が必要です。48,000円だけでは届かないため、この事業で補助が出るほかの工事と合わせます。窓の工事が補助に入るかは、窓の種類と製品の性能で決まります。下限の例外は、図12のとおりです。受付は、予算がなくなると締め切られます。
自分で買った設備を付けてもらう工事は、対象になりません。家暖リフォームは、窓の内側に内窓を付ける工事もしています。
工事の日数と、お風呂が使えない日数
一般的には、ユニットバスから替える工事は2〜6日ほどです。在来のお風呂(現場でタイルなどを張って作ったお風呂)から替える工事は、4〜8日ほどです。

図13(一般的な目安)
工事のあいだは、お風呂に入れない日が続きます。いつから入れるかは、工事の前に確かめておきます。入れないあいだは、銭湯や温泉、親せきの家などのお風呂を使います。
床下の土台を直すときは、さらに1〜3日ほど延びることがあります。床のコンクリートの乾きに時間がかかるときも、延びることがあります。
家暖リフォームでできること
- 浴室:高断熱浴槽で、壁・天井・床に保温材が入った断熱ユニットバスに替えます。シリーズや仕様の選び方も、お宅に合わせてアドバイスします
- 窓:今の窓の内側に、もう1枚、樹脂枠の窓(内窓)を付けます
- 床:床下から、床板の下に断熱材を入れます(床暖プラン。床暖房ではありません)
- 天井:天井裏に、綿のような断熱材(グラスウール)を吹き込みます

料金の目安は、プラン・料金案内に載せています。
相談するとき
現地調査には、必ず専門の職人が伺います。入れる家は床下・天井裏に入り、入れない家は見える範囲で、今の断熱の状況を調べます。床下や天井裏に入るふた(点検口)を、新しく作ることもできます(費用がかかります)。時間は1〜2時間ほどです。
現地調査とお見積りは無料です。金額を見てから、断ることもできます。内窓以外の工事は、日程によりますが、現地調査から工事に入るまで1か月以内が目安です。
電話では「現地調査をお願いします」と伝えるだけでかまいません。受付は、基本的に平日です。
電話:0120-1181-46(フリーダイヤル)
お問い合わせ:お問い合わせフォーム
この記事の出典
- みらいエコ住宅2026事業事務局「交付申請等の要件について(交付申請の手引き)D リフォーム 交付申請」(2026年8月17日版)p.14〜15、p.17、p.26〜27、p.31〜32、p.54
- 日本建材・住宅設備産業協会「浴室ユニット及び浴槽の省エネ性能基準に関するJIS開発 成果報告書」(平成25年3月)p.3〜4
- パナソニックAWエンジニアリング「浴室ユニットの断熱性能」(2025年4月1日)
- パナソニック ハウジングソリューションズ「当社浴室ユニットにおける熱貫流率について」オフローラシリーズ(2025年2月20日)
- パナソニック「あなたのバスルームができるまで」
- 住まいづくりナビセンター リフォーム評価ナビ「お風呂リフォームは何日かかる?期間の目安や作業内容について解説」(2024年12月27日更新)
- TOTO「サザナ」、「浴室リフォームでできること」
- LIXIL「スパージュ あたたか」(4時間後の湯温の図)、お客さまサポート「浴室のサーモバスSは高断熱浴槽に該当しますか?」、「平成25年・28年省エネルギー基準評価対象製品性能一覧(暖冷房(外皮:ユニットバス床の熱貫流率))」(2026年10月23日)
- タカラスタンダード「パーフェクト保温」、「浴室パネル」
- クリナップ「ラクヴィア」、ニュースリリース(2024年2月1日)、「浴室・お風呂リフォームの工期(日数)・工程」
- トクラス「AXIY」、「会社概要」
- 国土交通省「住宅の省エネルギー基準 設計・施工編【全国(4〜7地域)版】第2版」(令和3年3月)p.85、p.87(新築向けの手引き)
- 森勇樹ほか「住宅における高断熱浴槽の湯温低下抑制効果に関する研究」日本建築学会環境系論文集 第79巻 第700号(2014年)
- 消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」(令和7年12月23日)p.3

